第7章 燻る想い。
いつの間にか置いてきぼりをくらった灰原は、ギャーギャーと言い争いをしながら去って行く2人の背中を黙って見送った。
「ーーー灰原、どうかしたのか?」
そこへグラウンドから稽古を終えた夏油と七海がやって来た。
「あっ、いえ!ちょうど五条さんとさんに会って、、あっ、、。」
夏油と七海は灰原の視線を目で追うと、ちょうどが五条の膝裏に蹴りを入れ、校舎へと走って行く姿が見えた。
「・・あの2人って仲良いですけど、そーゆう仲、なんですか?」
灰原の空気を読めない質問に、七海は思わず天を仰いだ。
「は私の彼女だよ、灰原。」
傑は薄い笑みを浮かべ、灰原の肩をポンと叩いた。
「えっえ〜っ⁇⁇そうだったんですね⁈
すいませんっ、俺てっきり、、、」
「別に謝ることじゃないさ。」
「・・けど、なんか意外っす。俺、勝手に夏油さんは綺麗なお姉さん系がタイプだと思ってました。
あっ、さんが綺麗じゃないとかって言ってるんじゃないですよ⁉︎さん美人さんだし!」
「・・・灰原、ヒトの恋愛事情に口を挟むな。」
苦笑する夏油の隣で七海が眉を寄せた。
「確かにはお姉さん系ではないけど(笑)
とても魅力的なんだ。他の女性が目に入らないぐらいにね?」
同性でもドキッとするような流し目を向けられ、灰原は頬を染めた。
「・・・さすが夏油さん…かっこいいっす‼︎」
何故か頬を染めている友人を横目に、七海はため息を吐いた。
先程までのキツイ稽古で疲労した身体は重く、汗で肌にシャツが張り付き一刻も早くシャワーを浴びたかったがそうはいかないらしい。
灰原は夏油にキラキラとした眼差しを向けながら興味津々にプライベートな話を聞き始めた。
年相応な普通の高校生風の灰原と、長髪を一つに纏め耳には大きなピアス、切長の目にボンタンと、一見不良のようにも見える夏油が並び談笑する奇妙な光景。
自称"人を見る目に自信がある"という灰原は入学して早々、夏油に懐き、さらにその尊敬の意は日に日に増していた。