第7章 燻る想い。
灰原の質問に答えながら夏油は目線を校舎の方に向けた。
けれどと五条はこちらに気づく事はなく、既に建物の中へと姿を消していた。
「・・・・。」
「ーーーー夏油さん⁇」
「ん?あぁ…すまない。何だったかな?」
「ーー灰原、もういいだろ。戻るぞ?」
口を開きかけた灰原を七海が止めた。
「え?あ、そうだね。
夏油さん!今日はありがとうございました!
また時間がある時に稽古お願いしますっ‼︎」
「あぁ、私で良ければ。」
ペコッと会釈をし、寮の方へと戻って行く後輩達を見送ると、一人校舎の方へと足を向けるた。
けれど、数歩歩いたところで足が止まる。
2人は任務の報告書を書いてるだけ。
それが終わればはいつものように自分の部屋へとやって来るだろう。
「ーーー何を焦ってるんだろうな…。」
後輩のたった一言で揺らいだ自分に失笑する。
"あの2人ってそういう仲なんですか?"
胸の奥で燻る宛のない気持ちを打ち消すように首を振ると、踵を返した。