第7章 燻る想い。
グラウンドの方からブンブンと手を振りながら1年の灰原が走って来た。
4月から新しく1年が2人加わり、私達は2年になった。
灰原は人懐っこくて例えるなら、犬。
もうこっちに向かって走ってくる姿なんて柴犬そのものだ。
「お2人共、任務帰りですよね⁈お疲れ様です!」
『灰原は自主トレ?』
目の前まで来た灰原はジャージ姿で額には汗が滲んでいた。
「はいっ!夏油さんに見てもらったんすよっ!
夏油さん忙しいのに時間作ってくれて‼︎
あ、今ちなみに七海に呪具の扱い方教えてますよ?
いや、マジで夏油さんすげーっす!体術教わったんすけど、超強いし、速いし動き滑らかだしっ?
めちゃくちゃかっこ良くて真似したいのに俺全然出来なくて、、」
ペラペラと喋り出す灰原に、五条の顔が歪んでいく。
「・・・おいおい傑の信者か?誰か止めろよ。」
『あれあれ〜僻みかな?
五条も傑を見習って少しは後輩から慕われるように普段の行動と言動、気をつけた方が良いと思うよ〜?』
「はぁ?僻んでねーし!
お前こそ1年に抜かされないよう少しは傑に稽古つけてもらえよ。」
『ハハッ、そーね!稽古つけてもらうなら私もずぇーーったい強くて優しくてかっこ良い傑にお願いするわ。
そーだ!私も七海と一緒に教わってこよーかなっ♡』
グラウンドの方へと方向転換した瞬間、それを制止するかのようにグイッと首根っこを掴まれた。
「ほ、う、こ、く、しょ♡今日中に3枚ねー♡」
『〜〜〜〜〜〜〜ッ‼︎』
ニンマリ、と底意地の悪い笑みを浮かべた五条に見下ろされ、ギリッと奥歯を噛み締めた。
私は五条の腕を振り払うと、ハンッと鼻を鳴らし、
『2件目の任務で五条が小学生びびらせて泣かせた事、し〜っかり報告しておくね?』
「ぁあっ⁈つーかあれはあのガキンチョが言う事聞かねーのが悪いんだからな⁈
俺悪くねーしっ!」
『そーゆーとこよ!あんたのそーゆー所がガキだって言ってんの。』