第3章 陰抓楓乃、死にました
正直、もしかしたら遊びじゃないのか、なんて不安になる時もあるけど……。
「あ、いた」
走って行くと、門の前に昴と思われる一際背の高い短パンの男子が立っていた。
気が抜けているのか、宙を見てボーッとしている姿が微笑ましい。
「昴」
そばにより声をかけると、案の定その男子は昴だった。
昴はハッとして勢い良く振り向くと、私を見るなり満面の笑みに変わった。
……可愛い。
咲夜がふにゃっといったところなら、昴はくしゃっといった感じに笑う。
「お疲れ。待たせた?」
「いや、あんまり。行こ」
昴はそう優しく微笑むと、私に右手を差し出してきた。
私は照れくさがりながらも手を重ねると、指を絡めた。
歩き出し、チラッと昴を見てみると、昴もこちらを見ていたようで目があった。
びっくりして少し慌てていると、昴はくすりと目を細め笑い、握る手の力を少しだけ強めてきた。
その所作に胸がキュウッとする。
こういう昴のほんわかしたところが私は好きなのかもしれない。
いつだって優しいし、たらしなんて疑ってたのが申し訳ないくらいに誠実。
いつも大切にしてくれるし、不安になる要素は全くない。
私にはもったいないぐらいの、素敵な彼氏だ。