第3章 陰抓楓乃、死にました
咲夜は、ふにゃっとした顔のまま続けた。
「渡部(ワタベ)君がね、校門のとこで待ってるって」
「ああ。分かった、ありがとう」
咲夜はうん!と元気よく返事をすると、じゃあねと体育館を出て行った。
……昴(スバル)、もう校門のところにいるのか。私も早く出なきゃ。
私は支度をする手を速めると、そそくさと体育館をあとにした。
昴というのは、さっき咲夜の言ってた渡部という男であり、私の彼氏だ。
サッカー部のエースで、サッカー業界のお偉いさんからも一目置かれている期待の新星。
去年私がそのサッカーをする姿に一目惚れして、付き合うことになった。
昴はかなりの美男子で、背も高く運動神経抜群なため(残念ながら頭の方は優れていない)女子からの人気は高い。
そんな昴がよく私なんかと付き合ってくれたな、とつくづく思う。