第1章 01
ミコトも自分の紅茶を飲みながら、ぼーっとテレビを見ている。
本当に見て居るのかどうかあやしいが、一応起きている。
「ミコトは朝、食べないの?」
「うん・・・。朝、足りる?」
「うん」
マグカップを置いて洗面所に消えたミコトを待って数分、さっきより目のさえたミコトが戻って来た。
「今日は服とか買いに行こうね」
「うん」
ミコトは朝が苦手みたいだ。
昨日、こっちに来た時の服をもう一度着て、ミコトと一緒に外に出た。
ミコトは軽く化粧をして、と言ってもあんまり変わらない。
しっかりと俺の手を握って歩く町はあんまり俺の居た世界とかわからない気がした。
「服は、ここで買おうか」と入った店は子供服専門の店で、当たり前に子ずれが目立った。
好きなの持っておいでと言うミコトに適当に選んで持っていく。
下着数枚とTシャツ、パンツを数枚ずつ持って行った。
「はい、じゃあ、お会計ね」とミコトが勝手に選んだであろうもの数枚と一緒にレジに向かった。
この世界の金額の単位はジェニーではないようで、10000円になりますと言う店員の声にこの世界の単位が円だと知った。
「ミコト」
「ん?」
「ありがとう」
「どういたしまして」
ふふっと笑って言うミコトを見上げると本当にうれしそうに笑いながら歩くミコトが居た。
この世界は酷く平和だ。
俺たちのような闇なんて一切感じさせないこの場所は、俺にとって生ぬるく、ねっとりとしていて慣れない。
「ねぇ、ミコト」
「ん?」
「この世界で人は死ぬの?」
口に出して見て馬鹿馬鹿しいと思う質問だった。
体が子供になって、少なからず頭まで幼児化しているような気がした。
「死ぬよ」
淡々と答えるミコトは少し、この世界から浮いて見えた。
「それは、「イルミ」 何?」
「お昼どうしよっか?」
「ミコトに任せる」
ミコトはまたいつもの笑顔でにっこりと笑った。