第7章 町娘×画家
美術や絵画に詳しくない人でもその天才画家の名を知っている。
その人の名は、エダーライン。
あまり人前に姿をみせず、謎に包まれている人物だ。
「エダーラインの新作が発表されたな」
「あぁ。素人が見ても感動してしまう美しい絵だ」
今日も街で誰かが噂をする。
そんな噂話をする人たちを横目に、シェリーはカゴを抱えて歩いていた。
そしてとある家のドアをノックする。
「いらっしゃい、シェリー」
優しい笑顔で迎えてくれたのはエダーライン。
あの噂の画家だ。
まさか有名人がこんな街中に堂々と住んでいるなんて誰も思うまい。
「お邪魔します、エダン。今日は鶏肉のコンフィを持ってきたわ」
「ありがとう。お腹も空いたけど…早速君を描きたいな」
耳元で囁かれれシェリーはドキッとしてしまう。
エダーラインに手を引かれ、連れてこられたのは作業室だ。油絵具の匂いが充満している。
天窓があり、太陽の光が降り注ぐ。その下にはソファが用意されていた。
それを見て、シェリーは頬を染める。
「さぁ、脱いで、シェリー」
エダーラインがシェリーの服のボタンを外していく。
そう、シェリーはヌードモデルをやっているのだ。
と言っても、最初からヌードモデルをやっていたわけではない。ある日、モデルにとスカウトされ、一時間座っているだけならと引き受けた。
お小遣い稼ぎのつもりだったのだ。
エダーラインは引きこもりだったが、クールで、ミステリアスな男だった。
顔は女性のように美しく、肌は滑らかで綺麗だ。
絵の具で手が汚れることがあるが、不思議なほど綺麗だった。