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萌えシチュに今日もトロける【R18】

第1章 それは追体験できる魔法書




そんな怪しい魔法書なんていらない。
そう思っていたはずなのに……


「持って帰ってきちゃった」


シェリーは帰宅後、自室で例の魔法書とにらめっこしていた。
藍色の本はまるでシェリーを誘うかのようにぼんやりと光を放っていた。

魔法書なんて伝説だと思っていたが、本当に実在したのだ。



予定より早く帰宅したシェリーを見て家族は驚いていた。
そして彼が浮気して別れたことを告げると、全然ショックを受けていないシェリーを見てもっと驚いていた。

今のシェリーは別れた元彼より、手元にある魔法書の方が気になっていたのだ。


「他の人の恋愛を、自分がヒロインになって体験できる」


なんとも面白そうな話ではないか。
もしかしたら自分が一生経験できないストーリーもあるかもしれないし、辛い失恋もあるかもしれない。
でもそれは、あくまでも他人の話だ。
しかも実話かもしれないし、妄想かもしれない。

目次が滲んでしまっているのが気になるが、試してみてもいいかもしれない。





シェリーはベッドに寝転がり、ごくりと唾を飲むと『パン屋の娘×幼馴染(貴族)』のページをゆっくり開く。



すると眩い程の光が溢れ、シェリーを一瞬にして包んでいた――



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