第28章 染まりゆく
「傑、ちょっと痩せた?大丈夫か?」
任務も全て一人でこなす。硝子は元々危険な任務で外に出ることはない。必然的に私も一人になることが増えた。
「ただの夏バテさ、大丈夫」
「ソーメン食い過ぎた?」
「それは五条先輩でしょ」
木陰でこちらの様子を見ていたエナが、駆け寄ってくると小さく悪戯げに笑った。
「夏といえばソーメンだろうが」
「はいはい」
歩き出した悟と硝子の背中を眺める。ジリジリとてりつく日差しが肌を焼くようで、汗がうっすらと滲みそして制服へと染み付いていく。
「傑先輩、やっぱり少し顔色悪いね。本当に平気?」
私の顔を下から覗き込むようにして心配気に眉を垂れ下げる彼女の表情を見て思う。心配させたい訳ではないのに、と。
「本当に大丈夫だよ、私達も行こう」
「うん、でも辛かったら言ってね!夏バテって甘く見てると大変なことになるらしいから!絶対だよ」
「分かったよ、心配してくれてありがとう」
その夏は忙しかった。
昨年頻発した災害の影響もあったのだろう。
蛆のように呪霊が湧いた。