第27章 初めての
「でもまさか、さっき言ってたことがこんなに早く叶うなんて思ってなかったね」
「ん?」
「傑先輩も一緒にお菓子パーティー」
私を見下ろしていた傑先輩は「ははっ、確かにね」と大口を開けて爽やかに笑うと、私の頬をぷにぷにと摘んで嬉しそうな表情を見せた。けれどやっぱり目元にあるクマが気になってしまう。
「傑先輩疲れてるのに大丈夫?」
「大丈夫だよ、まだまだ若いから」
そんな先輩の冗談を含んだ言葉に「ふふ」と笑えば、傑先輩は私の手を掴んでギュッと握り締める。その指先が微かに冷たくて、私はそれを包み込むようにして握りしめた。
「おらお前らー、イチャついてねぇで行くぞー!」
「七海絶対嫌そうな顔するよね、灰原は喜ぶだろうけど」
「嫌がっても強制参加だわ」
「それじゃあ七海が可哀想だろう」
「可愛がってるの間違いだろ」
「きっと二人とも来るよ」
だって、こうやって皆んなで集まれるのって凄く楽しいから。
きっともうしばらくしたら、寮の談話室で皆んなで楽しくゲラゲラと笑いながら騒いでいるに違いない。