第26章 極秘任務
「これ、食って良い?」
「あ、うん食べて。五条先輩が好きそうだと思って買ってきたの」
しばらくして私から離れると、のそりと身体を起こした五条先輩はそのまま袋を手に取ると中からクリームがたっぷり入ったパンを取り出した。
そしてそれをもぐもぐと数口で食べ終えると、次のパンもあっという間にペロリと平らげる。
それからはソファーへと隣合わせで座っていた私の肩へと、とんっと再び頭を乗せると小さくすーすーと寝息を立てて寝てしまった。
疲れていたはずだ。当然だ。
それなのに自分の部屋ではなく談話室にいたのは、もしかしたら一人でいたくなかったのかもしれないとそう思った。
傑先輩も五条先輩も、優しい人だ。そして彼らは私と同じまだ高校生。昨日の二人に起きた出来事を考えると、胸の奥がぎゅっとして…また苦しくなった。
私が二人にしてあげられることはなんだろう。そんなもの…もしかしたら無いのかもしれない。
だからこうして孤独な喪失感により術師を離れていく人達がたくさんいるのだ。この黒く薄汚れた世界の中で耐えきれず潰されていく。
誰もそんなこと望んでなどいないはずなのに…呪いはいつだって私達を苦しめそして真っ黒な世界へと堕としていくのだ。