第25章 納得
五条先輩とこんな風にして腹を抱えて笑ったのはいつぶりだろうか。最近ではいつの間にか…そんなこと無くなってしまっていたように思う。
「そういえばどうやって高専帰るの?五条の人に送ってもらうつもりで補助監督さん返したんだよね?戻って来てもらう?」
携帯を開き時間を確認し、そのまま五条先輩へと視線を戻す。
「…五条先輩?」
けれど目の前の五条先輩は、先ほどとは打って変わって真剣な表情で私を真っ直ぐに見つめていて
「今さら気付くなんてな」
「え?」
気づく…?
「歩くぞ」
五条先輩はそう言うと、くるりと反対側へと向かって歩き出した。
「え、歩くの?五条先輩が?珍しいね」
「俺だって歩く時くらいあるわ」
五条先輩の様子が少し変だったのは気のせいだろうか。今はもう何ともなさそうだ。
私は五条先輩の背へと駆け寄ると、新しい呪具をぎゅっと握りしめた。