第25章 納得
ガラガラガラとけたたましい音が響き渡る。
壁、瓦屋根、植木、それら辺にある全てが一箇所に吸い寄せられるようにして大きな塊になっていく。
「ちょっと待って五条先輩…さすがにそれはマズイ」
そんな私の言葉に、五条先輩は余裕気にクスリと笑うと「マズイからしてんだよ」そんな楽しそうな声色でケラケラと高笑いした。
私を抱えているのとは反対の手を大きくぐわりと振りかざす。瓦礫の塊と化したソレは五条先輩の手に合わせるようにして大きな破壊音と共に辺り一面をえぐりとると、先ほど私達が走っていた方向をさら地にした。
遠くの方では唖然とこちらを見つめている先ほどの人達が目に入る。
「…嘘でしょ」
この人本当にやっちゃったよ…
「ほら、逃げんぞ!」
心底楽しいって顔をするこの目の前の人がやけに眩しく見えた。
五条先輩の呪力は規格外だが、こんなことをすること自体が規格外だ。私がさっき小さな爆発ですら躊躇っていたのが馬鹿みたいなほどに。
ヒョイっと屋根をつたい走り続けていると、見覚えのある大きな門の上から当然のように道路へと降り立った五条先輩はゆっくりと私を下ろした。