第25章 納得
しばらくの間はあちらも唖然としていたのだろう。追いかけて来る様子は無かったが、少しすれば不細工でヘドロのような何かがこちらに向かってやって来るのが見える。
「え!何!?式神!?」
五条先輩の手を掴みながら後ろへと振り向き、その得体の知れない気持ち悪いと物体へと視線を向ければ、五条先輩は私が掴んでいた腕をそのままグッと引き寄せると、ヒョイっと軽々持ち上げだ。
「うわぁっ」
トンッと軽い足音を立てたかと思うと、次の瞬間には隣の建物の屋根の上へと私を抱えたまま立っている。
先ほどいた人達だって五条家の人間だ。あんなことをして簡単に逃してくれるとは思っていなかったが、運が悪い事に遠距離タイプの術式の持ち主がいるらしい。
「少し、遊んでやろうか」
五条先輩はそう言いニヤリと口角を上げると、それはそれは楽しそうな笑みを浮かべその碧色の瞳を妖艶に細めた。
「ーーーーーーーー術式順転、蒼」