第25章 納得
「金ねーのかよ」
「金?」
新しい呪具を買う金?
「そのカップル、空き家使ってねぇでラブホ行けや」
「え、そこ?」
そこなの?思わずそんなことを思ってしまう。まぁ確かに先輩のおっしゃる通りではあるけれども…
「そこだろ、そいつら庇って呪具壊れたんだろうが」
「まぁそうなんだけど…」
非呪術師にとって、普段見えるはずのない呪霊が見えてしまう条件がいくつかある。その一つに、死を意識した直後呪霊が見えることがあるらしい。
今日のカップルはまさにそれだったのだろう。きっと死を意識するまでは、私が何か見えることのないモノと戦っていて、悍しい空気だけを感じでいたはずだ。しかしその後呪霊が見えてしまい、私が祓った直後今度はこちらをまるでバケモノでも見るような瞳で私を映した。
「別に…私はバケモノでも何でもないのに」
呪術師はヒーローなんかじゃない。ヒーローのように人を助けるそんな輝かしい人だと思った事もあった。けれどこうして呪術界で生きて、そして高専に入り任務に行くようになれば、それは間違いなのだと気付かされた。
呪霊の見えない人々からしたら私達は異質な存在だ。きっと恐ろしく恐怖する存在なのだろう。それもそうだ、普通ならば見えないものがみえているのだから。