第25章 納得
思わず口を開けた私も私だが、やってくる五条先輩も五条先輩だ。
だけれど五条先輩にとっては、こんなことをどうってことない出来事の一つに過ぎないのだろう。
「それよりお前、それどうしたの」
携帯をいじりながらなんてことなくそう言ってくる先輩。
「え?それ?」
五条先輩の視線は携帯に向けたままだ。
「呪具、ぶっ壊れてんじゃん」
その言葉に大きく目を見開いた。六眼はそんなことまでわかるのか、呪具の呪力の乱れで分かるのかな。
私は腰に付けていた呪具を入れているポーチを取り外すと、ジッパーを開けて中身を見せる。もちろんこんな場所で鎌を直接出すなんてヤバイ奴のすることだから、ポーチの入り口を開けて見せるだけだ。
五条先輩は携帯に向けていた視線をこちらへと移すと、ポーチの中身を覗き込んで呆れたような声を出した。
「真っ二つじゃん、もう使えねぇな」
「うん…完全に壊れたよね」
ポーチの中には真っ二つに折れ曲がった私の愛用呪具。先ほどの任務で壊してしまったのだ。
「どうやったらこんな壊れ方すんの」
「それが空き家での任務だったんだけど、高校生のカップルがどうやらデートで使ってたらしくて戦闘中遭遇しちゃってさ。狭いし相手やたら硬い呪霊で結果苦戦してたんだけど、そのカップルが慌てて逃げようとするから呪霊もそっちに向かって行っちゃって…それで急いで力任せにやったら祓えはしたけど呪具はこの有様」