第25章 納得
「はい、分かりました。大丈夫です、待ってますね」
先ほど買ったミルクティーのペットボトルを片手に耳へと当てていた携帯をポケットへとしまった。迎えの補助監督さんから遅れるという連絡があったのだ。
万年人手不足の呪術界は、呪術師だけでなく補助監督も満足に人員が足りてはいない。まぁそれも仕方の無い事だ、呪いが見える人間などそういないのだから。
「…はぁ」
一人任務疲れたな。思わずそんな言葉が口からこぼれ落ちそうになって、パッと手元にあったはずのペットボトルが消えたことに気が付く。
「…びっくりした」
「気付くの遅すぎじゃね?」
私が先ほどまで飲んでいたペットボトルを喉を鳴らしごくりと一口飲み込んだのは、駅前にあるベンチに座っていた私を見下ろしてくる五条先輩だ。
「え、何でいるの?」
「俺も近くで任務だったんだよ。迎えの車が足りないからお前と合流しろって言われた」
「あ、なるほど」
遅れると言っていたくらいだ。やはり補助監督さん達もとても忙しいのだろう。
それにしても…
「久しぶりだな」
「え」
「俺ら会うの、久々じゃね?」
「そう…だね」
それもそうだ。私達はあの日以来会っていなかった。あの日、私と傑先輩が付き合っていると五条先輩に告げた日以来。