第25章 納得
しばらくの間、傑先輩と五条先輩は冷戦のように互いを無視し合っていたようだったけれど、それも二人の傷が消えるころには気が付くといつも通りの先輩達に戻っていた。
教室から見下ろした先で、いつも通りにふざけ合っている二人を見てホッと胸を撫で下ろす。
それと同時に、やはり男の人って良く分からないなとも思う。あんな殴り合いをしても、数日で仲直り出来るのだ。でも多分私が思うに、あの二人が特別なのだと思う。
きっと互いを信頼し、信じているからこそ自分自身を曝け出せる。本気の殴り合いが出来る。殴り合いをしてもなお、互いを嫌うことなどないと心ではそう理解しているのだと思うと、親友というのは凄いのだなと感じた。
私も、もちろん七ちゃんと雄ちゃんが大好きだ。それに親友だとも思っている。男女の友情など、側から見たら信じてもらえるかどうか分からないけれど、でも私達の絆は本物だ。大事だ、大切だ。でもだからといって殴り合いをすることはないし、それとはまた違う友情で固く結ばれているのだと思う。
そう思うと、やっぱりあの二人は特別なのかもしれない。
二人の最強。
きっと二人にしかなれない最強。
そんな強さが、きっと傑先輩と五条先輩を引き合わせた。