第24章 告げる
「傑はどうしたんだよ」
「先輩は任務だよ」
そこで何故か黙ってしまった五条先輩に、どうしたものかと思いとりあえず持っていた袋を差し出す。
多分、私に治療されるのが嫌なのかもしれない。それはそうだ、元セフレで終わった関係の女に触れて欲しいなど誰が思うか。しかも、親友の彼女に…
「何」
「ガーゼと消毒液と湿布」
こちらが差し出した袋を五条先輩は取る素振りはなくて、そのままジッと私を見下ろしてくる。
けれどもそれもしばらくして半開きにしていたドアを大きく開くと、私の腕を勢い良く引っ張った。
「っへ?」
「何でそれを俺に渡すんだよ、手当てしてくれんじゃねぇの」
いや、それはそうだけど。そのつもりできたのだけれど。でも…五条先輩は嫌なんじゃないの…?
バタンと扉が閉まる。
「五条先輩っ」
流石にいくら何でも五条先輩の部屋の中に入るつもりなんて無かった。いくら何でもそれがダメなことくらい私にも分かる。