第24章 告げる
「分かりました」
それに五条先輩の怪我が気がかりだったのも確かだ。夜蛾先生へとそう返事をすると、私は片付けていた消毒液やらガーゼを袋に一纏めにした。
それを持って五条先輩の部屋へと向かう。ドアの目の前で足を止めると、ノックする手が微かに震えた。
この部屋に来るのはいつぶりだろうか。もう来ることはないと、そう思っていたのに。
ゴクリと唾を飲み込む。何故こんなに緊張するのかも、手先が震えるのかも分からない。
「五条先輩」
ドアの向こうへと声をかければ、それに対しての返事はなかなか来なくて…部屋にいなかったのかも。もしくは寝ているのかもしれない。そう思いホッと胸を撫で下ろしながらその場を後にしようとした瞬間、目の前のドアがギィーと古びた音を上げ開いた。
「何してんの、お前」
こちらを見下ろしてくる五条先輩は、私を見て眉間に軽くシワを寄せる。その姿は先ほど同様乱れてボロボロになった制服のワイシャツのままだ。
「怪我の手当てに来た」
「は?必要ねぇよ」
「でも、血出てるよ」
五条先輩の口横は見事にパックリと切れていて、血すら拭き取っていない。多分さっきのまま放置していたのだろう。