第24章 告げる
医務室のドアを開ければ、消毒液の匂いがツンと鼻を刺す。
「先輩、座って」
私を先に治療すると言って聞かなかった傑先輩だけれど、私の擦り傷なんか本当に大したことなんてなくて、むしろ消毒液を付けるレベルですらなくて「絶対に傑先輩が先!!」とまるで折れる気配のない私を見て渋々椅子へと座った。
「ちょっと染みるよ」
腕にあるアザには湿布を。頬にある擦り傷に消毒液を付けてトントンして大きめの絆創膏を貼る。
「…傑先輩…見過ぎ」
目の前には私をジッと見つめてくる傑先輩。その表情はにこにこと嬉しそうだ。あまりに近距離で突き刺さる視線に苦笑いを落とせば、傑先輩は「気にしないで」とまた頬を緩める。
「さすがにこの距離でそんなに見られたら気になるよ…」
「そうかい?じゃあ慣れてくれると助かるな」
クスクスと笑う先輩に、最後の絆創膏を貼って「はい、おしまい」とその部位をポンっと叩けば、傑先輩が座っている目の前で立つ私の片手をギュッと握った。
「どうしたの?」
それを不思議に思い使った物を片付けようとしていた手を止めて傑先輩方へと振り向けば、私を見上げている先輩はさっきとは打って変わって少しばかり切な気にその表情を歪めている。
「…傑先輩?」