第24章 告げる
それからしばらくして、二人はとんでもない姿で道場から出てきた。
「えっ」
雄ちゃんの困惑するような声が隣から聞こえてくる。だけれどそれは私も同じだった。
二人の顔面は血まみれで腫れ上がっているし、学ランのボタンは吹っ飛びワイシャツがはだけボロボロだ。
傑先輩はいつも綺麗にまとめられた髪が乱れているし、五条先輩なんて手元にはバキバキに壊れたサングラスが握られている。え、無下限があるのに何で…
二人が殴り合ったのはどこからどう見ても明白で、かといっていつも二人がしている喧嘩とはそれも違うように見えた。
だって建物が破壊されていない。二人がこんなにも本気でやり合っていたならば、きっと普段は術式の影響で辺りは粉々になっていたはずだ。だけれど近くで待っていた私達だけれど、爆発音なんて聞こえてこなかったし、破壊もされていない。
だから本当に傑先輩の言うように少し話しているだけどとそう思っていたのに…
これはどう考えても…少し話していただけではないはずだ…
私は唖然としなぎらも慌てて二人に駆け寄ると、そんな彼らを見上げた。