第24章 告げる
「え、何してるの…?」
「はぁ?お前に踏み潰されてんだよ」
「だって無下限は?」
「エナがズルイっつったんだろうが」
いや、言った。言ったけれども…まさか本当に解いてくれるとは。
術式で呪具のみ止めていたのだろう。私と五条先輩の真横を、吹っ飛んでいた呪具がカラカラと音を上げ落下する。そして一方私は、何と五条先輩を思い切り身体全身で踏み潰していた。
さすがに先輩を踏み潰したのはマズかったかと「へへ、ごめん!」とそんな風にへらりと笑い先輩の上から退こうとすれば、五条先輩は何故か私の腕をパシっと掴む。
「はい、八回目」
くるりと反転させられた身体。どうやら戦いはまだ続いていたらしく、私の両腕を床へと押し付けた五条先輩が私の真上でニヤリと笑う。
…八回目も死んだ。
「さすがに今のはノーカンでしょ!」
「油断すんのが悪いだろ、いつ何時でも油断すんなよ」
う、それはそうだけれど…
「分かったよ。八回目、私の負け」
軽く頬を膨らませながら目の前の五条先輩へと視線をずらし「じゃあもう一回!!」と笑顔でそのまま起き上がろうとしていた身体を私はピタリと止めた。
「先輩?起きないの?」
私を押さえつけたまま、ピクリとも動かない五条先輩。不思議に思いそう声をかけるが、先輩が退く気配はない。