第24章 告げる
次の瞬間、身体がぐわりと揺れ何かの力によって引き寄せられていく。
「へ?」
そんな言葉を発したのも一瞬で、気が付いた時には身体が宙に浮いていた。
引き寄せられていく。ピリピリとした感覚と、とてつも無い引力で身体が投げ出される。
ちょっ嘘でしょ!?
五条先輩の術式だ。けれどそれに易々とやられるわけにはいかない。腰に付けていた呪具へと手をかけ、コンマ数秒にも満たない速度でそれを取り出すと、勢い良く鎌型の呪具を地面へと突き刺した。
普段と同じ重量で修行をした方が良いという五条先輩のアドバイスをもらい呪具を付けていたことが運良くが項を奏す。
五条先輩との修行はグラウンドではなく道場でやっている。私が何度も投げ飛ばされるからだ。正直、道場の畳に鎌で突き刺すなど、夜蛾先生に知られればゲンコツものだが今は仕方ない。
だけれどそんな作戦で抵抗出来たのもほんの一瞬で、五条先輩の少し手前で呪具へとしがみつき堪えていた私の手がズルリと滑り、呪具もろとも勢い良く五条先輩目掛けて吹っ飛んだ。
ドカッという大きな音と共に地面に転がる。
「いったたた…」
「こっちの台詞なんだけど」
近くから聞こえて来た言葉に閉じていた目をゆっくりと開けば、目の前の光景に私はギョッと目を見開いた。