第24章 告げる
今日五条先輩へ傑先輩とのことを告げると決めてから、五条先輩へといつ言おうか、いつ言うべきなのか、ずっと考えていた。だけれどそれに答えが出ることはなくて…なかなか言えずに時間ばかりが過ぎていく。
「右、左、右、右、上。おーい、次どこに拳が来るか言ってやってんだから全部避けろよー」
「そんな…っむり!」
「はい、また死んだー」
ドガンッいう音と共に私の身体が軽く宙に浮いて吹っ飛ぶ。
「今日だけで七回は死んだな」
努力する後輩に対してそんなデリカシーのカケラもない台詞を言いながら、吹っ飛ぶ私を空中でキャッチすると、五条先輩はそのまま床へと降り立ちクイッと口角を上げた。
「結構動き良くなって来たんじゃね?」
いや、七回死んだとか言いながら、よくそんなことが言えたな。ぜんっぜん褒められてる気がしないんですが…
あ、もしかして今なら油断してるんじゃ?少しズルイ気もするけど、今しかない!
私は次の瞬間ぐるりと体制を立て直すと、私を抱えていた五条先輩目掛け腕を振り下ろす。が、
「効かねぇーよ」
私の腕は五条先輩に触れる少し前、数センチ手前でピタリと止まる。
「無限はズルくない!?」
弾き返されたことにより、そのまま後ろへと後退するようにジャンプすれば、ケラケラと笑った五条先輩はサングラス越しの瞳を細めた。