第23章 はじめての
さすがに寮から私服姿で一緒に出かけるわけにはいかず、高専最寄りの駅で待ち合わせしたわけなのだが、待ち合わせって何だか凄く恋人っぽい。
電車に乗り込めば、一つだけ空いた席に当然みたいに私を触らせてくれる傑先輩はさすがとしか言いようがないし、そのスマートさに感心してしまう。
明日も早朝から任務が詰め込まれているため、もちろん遠くまでは行かない。なんなら高専のある場所は山奥ではあるものの、都心からそれほど遠いというわけでもなく、電車にさえ乗ればすぐに渋谷や新宿などへのアクセスもそれなりに良かった。
「じゃあまずは、ご飯食べに行こうか」
「うん!お腹すいたぁ」
吊り革を握りながらこちらを見下ろす傑先輩。顔が良い。
午前中は任務は無かったとはいえ、前日任務が深夜までかかってしまった為、傑先輩が私がゆっくり寝れるようにとお昼待ち合わせにしてくれたのだ。
「何食べようかなぁ、デザートも食べたい」
「たくさん食べな、昨日の任務で夜はろくに食べれなかったんだろう?」
「帰って来たの一時だったから、シャワー浴びてすぐ寝ちゃった」
「私もよくやってしまうよ。朝空腹で目が覚めるけれどね」
「え?傑先輩がそんな簡単に目覚ますことなんてあるの?」
「はは、普段の私そんなに寝起き悪い?」
「悪いよー、全然目開けてくれないもんね」