第23章 はじめての
デートプランは傑先輩と私の二人で考えた。
何処に行こうか、何を食べようかと、そんな話をしながら。こういったことも私からしたら全て初めてで、デートプランを考えるのって楽しいんだなとそんなことを思ったほどだ。
でもそれは相手が傑先輩だからかもしれない。一緒に色々考えて笑いながら話し合って、それがとても居心地の良い時間だったから。だからより、そう思ったのかもしれない。
私と傑先輩の休みが被ることなどそうそう無いと思っていたのだけれど、それは思ったよりもずっと早くその日は訪れた。
「傑先輩ー!」
高専から一番近い最寄駅、その改札の近くで傑先輩が立っているのが見える。普段の制服とは違い私服だからだろうか、何だかとても新鮮だ。それにしても駅前でただ立っている姿ですら絵になるのだからイケメンは凄い。
多分こんな人は、そこらで立っていようが座っていようが、ふらふらと歩いていようが目立って仕方ないのだろう。
それは周りの人達も同じことを思っているのだろう、ちらちとを傑先輩を見つめているのがよく分かる。
すかさず少し遠くから名前を呼び声をかければ、こちらへと気が付いた傑先輩がパァっとまるで陽だまりのように笑った。
その嬉しそうな笑顔を見て、胸の奥底がキュウとした感覚になる。
胸元を抑え、私も笑顔を向け手を触れば、それに合わせるようにして傑先輩も笑顔のままヒラヒラと手を振ってくれるのだ。