第22章 分からない
食堂へと行けば七ちゃんと雄君が先に食べていて、途中硝子先輩もやって来て皆んなで夕飯を食べた。
こうして二年と三年の全員が集まるのは凄く久しぶりで、やけに話が盛り上がって、夜蛾先生が次期学長候補だとか最近高専の山を降りた近くに焼肉屋が出来ただとか、そんな話で話題は尽きなかった。
自販機に寄ると言った七ちゃんと硝子先輩と別れ、目の前では雄ちゃんと五条先輩が横並びで歩いているのを眺める。駅前の有名な巨大パフェを何分で食べ切れるかなんて笑いながら話し合っている二人。
私と傑先輩はそんな二人より少し後ろをゆっくりと歩いていて、私は今がチャンスだと言わんばかりに傑先輩の手を引くと、先ほど歩いて来た方向へと逆戻りしていく。
「エナ?」
そんな私に傑先輩は驚きながらも雄ちゃんと五条先輩には聞こえないほどの声量で私の名前を呼ぶ。
きっとあの二人ならば私達がいきなりいなくなっても、性格上たいして気にもしないだろう。七ちゃんがいたら別だが。
二人にはバレないようなるべく音を立てず…でも急足で廊下を戻れば、その先にある曲がり角を曲がった所でようやく私はピタリと足を止めた。