第22章 分からない
「お前術式発動させる時バレバレ。もっとモーション小さくしろよ、防がれるぞ」
「腕の動き?」
「全部。空気、目線、指先から息づかいまで。瞬き一つ全てに集中しろ」
「そんな無茶な」
「無茶じゃねぇから言ってんの。ポテンシャルはあるんだ、あとはお前のやる気と根性次第」
コツンと私の額を人差し指で弾くと、ニィっと口角を上げ五条先輩はその美しいばかりの碧色の瞳を細めた。
飴と鞭だろうか。まぁでもこの人がそんなことに気を使ってくれるとは思えないから、多分本音を言ってくれているのだろう。
ポテンシャルはあるんだ。その言葉が私の胸を高鳴らせる。まんまと乗せられている気分だ。
「もう一回、お願いします」
「ボコボコにされても泣くなよ?」
「泣きません!もう一回お願いします!!」
私は大きな声を出しながら拳を握りしめ身体中へと呪力を込めた。
「はっ、気合い十分かよ」
強くなりたい。
呪術師としても、そして私自身としても。
強くならなくてはいけない。