第21章 眩しい
「まさか硝子がそんなことを言ってくれるとはね」
「夏油を見てたら、言ってやるのも悪くないと思ったんだよ」
「ふっ、それこそ貴重な発言だな」
そんな硝子先輩の言葉に傑先輩は嬉しそうな顔をしていて、やっぱり傑先輩は可愛いところがあるななんて思ってしまう。
普段のカッコイイ傑先輩からは想像もつかない可愛い部分を私は知っている。
きっとこれから先、一緒にいる時間が増えてそんなところをたくさん知っていく事になるだろう。
だから私は知らない。
帰り際に硝子先輩がこっそりと私には聞こえない声で傑先輩に耳打ちしていたことを。
「さぁて、アイツはどう出るかな」
「心底楽しいって顔をするのはやめてくれ」
「夏油も気が付いてるんでしょ?五条が最近女遊び減ったこと。突然どんな心境の変化があったんだか」
「今後悟がどうするのかは悟の自由だ、私が止める権利はない」
「余裕だねぇ、それとも痩せ我慢か?今後の展開が見ものだな」
「余裕なんてものはないよ、ただ私はいつだって必死なんだ。彼女のことに関しては」
「ふーん」
「今までずっと我慢してきたんだ、彼女の幸せを願って、彼女の気持ちを壊したくはなかった。でも今は違う、私が彼女を幸せにしたい」
「ちなみに私はどっちの味方もしないよ」
「分かっているさ」
「クズでモテ男の夏油でも必死になるんだな」
「そうだね、今の私はどうしようもなく必死なんだ。みっともないほどにね」