第21章 眩しい
私は傑先輩を選び、彼の手を取ったのに、五条先輩には知られたくないだなんておかしな話だ。
だけれどただ一つ引っかかることがあるとすれば、それは傑先輩と五条先輩の関係性が変わってしまわないかと少し不安なことだ。
だって私と五条先輩はセフレとして過ごしていたのだから。傑先輩からしたら親友のセフレ、五条先輩からしたら元セフレが親友の彼女になるわけだ。全くの無関係というわけにはいかないだろう。
まぁもちろん、私にそこまでの影響力があるとも思えないのだけれど。
でも、万が一ということがあるかもしれない。なんせ五条に夏油と言えば、誰もが認めるほど高専一喧嘩っ早い二人組だ。
だけれど私は分かっている。五条先輩にとって傑先輩は特別で、傑先輩にとっても五条先輩は特別だということを。
だからこそ、傑先輩に五条先輩へと隠し事をさせる訳にはいかないとそう思った。
だって私は、二人が一緒にいる姿を見るのが好きだから。
「あ、言いたくなかったら別に」そこまで硝子先輩が口を開いた所で私はゴクリと唾を飲み込み、パッと硝子先輩を見つめる。
「付き合ってます、昨日から!」
想像よりもずっと大きな声に思わず自分で自分に驚いてしまった。