第21章 眩しい
遠くの方で声が聞こえる。誰か…聞き慣れた、声だ。
「問題無さそうだね」
「そのようだね、良かったよ」
傑先輩の声…と、硝子先輩の声…?
重たい瞼を薄らと開ける。その間も傑先輩と硝子先輩の声が聞こえてきて、徐々に鮮明になっていく意識の中、そういえば寝る前にはあったはずの傑先輩の温もりが無いことに気が付く。
「おはよう、起きたかい?」
「あ、うん…おはよう」
瞳をそろりと開けば、どうやらソファーへと腰をかけながらこちらを覗き込んでいたらしい傑先輩と目が合った。
「ふふ、寝ぼけてる?」
傑先輩の甘やかな声。砂糖を散りばめたように甘い声が私に届く。
「おい、私もいるんだけど。甘い雰囲気出さないでよ」
「あぁすまない、硝子の存在を忘れていたよ」
「いや、さっきまで話してただろ」
目の前にはベッドサイドに立っている硝子先輩の姿。あれ?ここ傑先輩の部屋だよね?何で硝子先輩が?
キョトンとしながらそんな硝子先輩を寝ぼけ眼で見上げれば「良かったね、解呪おめでとう」と硝子先輩はゆるりと美しく口角を上げた。
…解呪?
「あれ?」
そういえば私今、傑先輩と手を繋いでいない。
「どうやら昼寝している間に解呪したらしい。硝子が任務から帰ってきたから見てもらったんだ」