第21章 眩しい
口元を手で押さえながら嬉しそうにしている傑先輩を見て、ぎゅうっと胸の奥が縮こまってたまらない気持ちになる。
…やっぱり傑先輩って可愛い。
「何だか夢を見ているみたいだ」と、ニコニコとした笑顔のままそう私へと言ってくる先輩を見て、私はそのまま強く強く傑先輩を抱きしめた。
「夢じゃないよ、傑先輩」
「うん、そうみたいだ。君がこうして、私を抱きしめてくれているのだからね」
今までだって抱きしめ合いながら眠って朝を迎えたことは何度かあった。けれど今はその時とは180度違うのだと傑先輩は言う。
恋人として迎える朝は、幸せなことこの上ないのだと。
うん、その気持ち…何だか少し分かるような気がする。
だって、傑先輩の腕の中で目が覚めた時とても満たされた感覚だったから。傑先輩の寝顔を見たとき、思わず心の中がぽかぽかした。そして今、幸せそうに微笑む傑先輩を見て、私はやっぱりこの人の手を取って良かったと心底そう思えたから。
「今日は一日中こうして抱きしめていたいな」
「うん、もちろん良いよ」
私も、傑先輩に抱きしめられるのが好きだから。