第20章 厄介ごと
部屋でのんびりしてから夕食の時は皆んなが行く時間を避けた。学生しかいない食堂だし他の皆んながこうなってしまった理由を知っているとはいえ、ずっと先輩とくっついているところを見られるのが恥ずかしいからだ。
「七海に灰原、どうしたんだい?」
手を繋ぎ食堂へと入れば、そこには食堂に座っている七ちゃんと雄ちゃんがいて私達に気が付いた雄ちゃんがガタリと立ち上がる。
「手繋いだままだとトレー運んだり不便かなと思って待ってました!」
「えっ、わざわざありがとう!」
そう言って作り置きされているおかずやお米をよそってくれる雄ちゃんと七ちゃんに、思わず自分の同期の優しさにジーンとしてしまう。
二人とも疲れているだろうに。本当に優しい二人だ。傑先輩といい高専には優しい人しかいないのか。何て周りの人間関係に恵まれているのだろう。
「悪いね、二人とも」
「いえ!こちらこそエナちゃんの力になって下さりありがとうございます」
傑先輩の茶碗へと大盛りにお米をよそった雄ちゃんはニコニコとそれを差し出す。
「そういえば七ちゃん、後で傑先輩がシャワー浴びる間手繋いでてくれる?」
「えぇ、構いませんよ。じゃあこのまま食べ終わったら夏油さんの部屋に行けば良いですか?」
「あぁ、そうしてくれると助かるよ」
「七ちゃんありがとうね」