• テキストサイズ

【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第20章 厄介ごと





そんな話をしながら私の部屋に着くと、傑先輩にはドアの外で待機していてもらって急いで制服から部屋着へと着替えた。



息苦しさはもちろんあるが、数分程度なら我慢できる。普段から任務で激しい戦闘や訓練での息切れに比べれば、種類は違うがいくらかマシなように思えたからかもしれない。



それでも息苦しくて呼吸が上がるのはもちろんで、ドアを開ける頃にはハァハァと顔を真っ青にさせながら登場した私を見て傑先輩は慌ててフラつく私を抱きとめた。



「五分が限界かも…十分は絶対無理」



「そのようだね、やはりよほどのことが無い限りはあまり離れない方が良いかもしれない」



「…うん、ごめんなさい」



「いいや、全然平気だよ。それより食事は足とか身体の一部をくっ付けていれば問題ないけれど、大変なのは風呂だね。五分以内でシャワーを終わらせないと」



「五分で頑張ります。傑先輩がお風呂に入っている時は七ちゃんに手繋いでもらっておくのでゆっくりしてきて下さいね」



私の言葉に傑先輩は一瞬黙ってしまったが、少し考え込むような素振りをしたあと眉を垂れ下げ私を視界に入れた。




「そうだね、その時は七海に来てもらった方が良いかもしれない」



「…けれど」そう言葉を続けた傑先輩は、少しの躊躇いを見せたあとゆっくりと話し始める。




「呼吸も少し苦しくなってしまうだろうし、なるべく急ぐよ。それにエナが七海と手を繋いでいる姿はあまり見たくない…かな」



小さく苦笑いをしながら私から目を逸らす傑先輩の表情は、己の感情に対し少し困ったような、それでいて口から出たストレートな言葉に薄らと照れているようにも見えて、その言葉をもらったこちらまで何だか恥ずかしくなってしまう。

/ 647ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp