第20章 厄介ごと
「それ、大丈夫だったの?」
「いいや、全然大丈夫じゃ無かった。まぁ何とか呪霊は祓えたんだけれど三日も悟と背中がくっ付いたままでね。風呂もトイレも背中がくっ付いたままだったし、寝てる時なんか男二人で身体を寄せ合って悲惨だったよ。私と悟じゃお互い気を使う感じでもないからよりね。まぁ今思えばあれはあれで良い思い出だけれど、もう二度とごめんだ」
その時の光景を思い出したかのようにクスクスと笑う傑先輩に釣られて思わず私も笑ってしまう。だって傑先輩と五条先輩の背中が三日三晩くっ付いたままだなんて笑える。見てみたかったな。
「だからこんな呪いは可愛いものだよ、野郎二人の背中がくっ付くよりはよっぽどね」
傑先輩の優しさはこういうところだと常々思う。もちろん普段からとても優しいのだけれど、きっと申し訳なく思っていた私に、面白い話を加えながらも自分の失敗談を話して気にしなくて大丈夫だということを伝えてくれたのだろう。
本当に良く人を見ていて、そして気づかってくれているのだと分かる。
「先輩達でもそんなミスする時があるんだね」
「あぁ、あるさ。他にも面白いネタならたくさんあるよ。硝子と悟の声が入れ替わった呪いとか」
「えぇ!!」
「これは硝子には秘密だよ?黒歴史だって言っていたからね」
「ふふ、分かった。秘密ね」