第20章 厄介ごと
硝子先輩に背中を押されるようにして医務室を出て行った二人を見送り、傑先輩は私を見下ろし、そして私は傑先輩を見上げた。
「えっと、とりあえずどうしようか。制服着替えて私の部屋に行くかい?」
「うん、着替える間くらいなら少し手を離しても平気だと思うし」
二人で手を繋ぎ少しだけぎこちない雰囲気のまま医務室から寮へと向かう。
もし今この状況を知らない高専関係者が私達を見たらどう思うんだろう。面と向かって会うのならば理由を話すことは可能だが、遠くからただ見られたんじゃあそんなことも出来ない。
あぁ、やっぱり私めちゃくちゃ迷惑かけてる…
思わずそんな落ちた気持ちになりながらも傑先輩へチラりと視線を向ければ、傑先輩は私とは違いそんな気にした様子もなく「うん?」と優しくこちらを見つめてくる。
「こんなとんでもなくアホな呪いにかかって恥ずかしい…」
「はは、確かにこんなの私も初めてだ。一年の時、悟と任務に出た時にお互いの背中がくっついて離れなくる呪いにかかったことはあったけれどね」
「え?背中がくっ付いちゃったの?」
「あぁ、笑えるだろう?」