第20章 厄介ごと
勢い良く医務室へと入ってきた傑先輩は、硝子先輩に一体何を言われたのか物凄く慌てた様子で走ってきて、ドアを開くなりベッドの上で手を繋ぐ私と七ちゃんを見て目を見開く。
だけれどそれも一瞬で、こちらへと近寄ってきた傑先輩の腕を硝子先輩が引っ張ると、私の手を取りガッチリと握らせたのだ。
そりゃあ傑先輩が驚くのも無理はない。だっていきなりこんなことされたら意味が分からないだろう。
「今いるメンバーの中だと、一番呪力量多いのお前だろ」
「…まぁ、それはそうだね」
「どこかしらに触れていれば呼吸は正常だから。まぁでも手が一番良いか、離れにくいだろうし」
「つまり、ずっとこのままでいるってことかい?」
「そうだね、まぁ呪力量で言うなら五条でも良いんだけどあいつしばらく帰って来ないと思うし」
「……悟は、そうだね」そう呟いた傑先輩はどこかホッとしたように息を吐き出す。でもそれは私も同じだった。だって今の私には、ずっと五条先輩と手を繋いでいるだなんて絶対に無理だ。そもそも気まずすぎる。
「心配しなくても大丈夫だよ、呪霊は祓っているんだ。数日もすれば元通りだから。頼んだよ、夏油」
「数日!?数時間ではなく!?」
珍しく傑先輩が大きな声を出す。それに驚きながらも私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。だってこれ…ものすっごく迷惑かけてるよね!?信じられないくらい迷惑かけてるよね!?
「夏油先輩…すみません…迷惑かけて…」
「え、あ!いや、そうじゃないだ…迷惑とかではなくて」
「でも…私ずっと夏油先輩に触れてないといけないなんて…迷惑以外の何者でもないですよ」