第19章 可愛いひと
「だけれど、同級生になって毎日会えるのは良いね。今だって本当なら毎日会いたいと思っているんだよ」
「先輩そういうところですよ…」
「ん?何がだい?」
きっと分かっているだろうに。恥ずかしくて顔を隠すようにして再びノートへと視線を向ければ、やっぱり傑先輩は上機嫌に小さくクスクスと笑ってみせた。
「本当傑先輩は口が上手い…」
「本心を言っているだけさ」
何気無い話をしながら時間がゆっくりと流れていく。なんとか課題も無事にやり終えたし、傑先輩が教えてくれたおかげで先生に聞きに行くことも、任務から帰ってきた後七ちゃんに教えてもらいに行かなくてもすんだ。
「お前らが二人でいるなんて珍しいな、何してるんだ?」
ガラガラっと教室のドアが開いたかと思うと、こちらに顔を出したのは夜蛾先生だった。廊下から私達が見えて声をかけたのだろう。
「夏油先輩に課題の分からないところ教えてもらってました」
「そうか、お前達が二人で勉強するほど仲が良かったとは知らなかった」
「私は後輩を大切にする主義ですから」
「それは良い心掛けだ。だがそれなら担任ももっと丁寧に敬え」
「あはは、それはもちろん敬っていますよ」