第19章 可愛いひと
ここ最近、さらに忙しさが増した三年生達をほとんど高専で見かけることはなくなっていた。
見かけたとしても夜の食堂とか、寝る直前の談話室とかばかりで、こうして校舎で顔を合わせるのは凄く久しぶりな気がする。
だから普通に任務と学業に明け暮れる生活しているとなかなか三年生達に会う機会はそう無くて、だけれどそんな忙しい時期が続いてしばらくしたころ、傑先輩はこうして私に会いに来てくれる様になった。
任務と任務の合間だったり、私が任務が無くて傑先輩が早く帰って来れた日だったり、朝空いている少しの時間だったり。
忙しい傑先輩からしたら貴重な休み時間だろうに。だけれど傑先輩は「少しでも会いたいんだ」と言って私に会いに来てくれる。
初めはそんな傑先輩の行動に驚きと申し訳なさがあったけれど、こうして私と顔を合わせた時、傑先輩があまりに嬉しそうに笑顔を見せてくれるものだから何だか私も嬉しくて、最近では今日は傑先輩会えるかな?とすら思うようになっていた。
「課題、何処でやるの?」
「あ、教室に戻ってやろうかなって」
「それじゃあ私も一緒に行っても良いかな?」
「もちろんです」