第19章 可愛いひと
「あぁ、もしかして私邪魔だった?」
煙草をふかしながらこちらを楽しそうに見つめている硝子先輩が「ふぅー」と天に向かって煙を吐き出す。
硝子先輩には、元々の私達の関係を知られてしまったていたからだろうか、傑先輩も硝子先輩に自身の気持ちを隠す必要はないと判断しているのだろう。
私を優し気に見つめていた瞳を硝子先輩へと向ける。
「何だい、気をつかってくれるのかな?」
「うーん、煙草一週間分」
「有料なんだ。じゃあそれで手を打とう」
仕方ないなと言いたげにクスクスと笑いながら口角を上げた傑先輩に、硝子先輩は「まいど〜」なんて言いながら手をヒラヒラと振るとあっという間に何処かへ消えて行ってしまった。
「あの…硝子先輩良いの?」
「どうせそろそろ部屋に戻ろうと思っていたんだろうね。煙草をタダで手に入れられてラッキーくらいにしか思っていないと思うよ」
未だに言い合いをしている三人を眺めながら傑先輩が楽し気な表情を見せる。私はその横顔をそっと見つめた。
本当…傑先輩ってかっこいいよなぁ。めちゃくちゃ顔整ってるし。
だから未だ不思議で仕方がない、こんなにもかっこよくて優しくて強くて頭も良くて。まるで非の打ち所がない傑先輩が何で私を…