• テキストサイズ

【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第2章 夏油先輩の部屋




「また何があった時は、私を頼って」



「……え…」



「眠れなくなったらこの部屋においで、いつでも待っているから」




優しく握られていた腕がパッと離される。すると、先ほどの真剣な表情が嘘みたいに柔らかく微笑んだ夏油先輩は「じゃあまた後で」と穏やかな笑みを見せて手を振ると、そんな先輩の言葉に驚きながらも手を振り歩き出した私を見送ったあとそっとドアが閉まった。




部屋に戻りシャワーを浴びた。いつもなら五条先輩と何かあった翌日は、酷く胸が痛むのに…そうならなかったのは多分夏油先輩が言ってくれた最後の言葉のおかげだと思う。




“何かあった時は私を頼って。眠れなくなったらこの部屋においで、いつでも待っているから”




先輩はあぁ言ってくれたけど、きっともうあの部屋へ私が行くことはないだろう。だって先輩にこれ以上迷惑はかけられないから。




優しい夏油先輩のことだ。きっと本心で言ってくれたんだと思う。だからこそもう夏油先輩を頼ってはいけないと思った。あの部屋へは行ってはいけないと、そう思ったんだ。



だけど、夏油先輩があぁ言ってくれたから。私はきっと今までよりも少し強くいられる。



先輩のあの言葉を思い出して、少しだけ辛い場所から救われたような気がしたから。




/ 647ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp