第18章 当たり前
三年生が居ない意味は、私達にとって日常がガラリと変わるほど大きなことなのだと今回をもって良く分かった。
「うぅ、ヤバイ…僕もうお腹すいて死にそうだよ…」
「私は呪具振り回しすぎて腕がズタボロ…」
「二人とも、立ったまま寝ないで下さいね」
とにかく私達二年に降り掛かる任務。任務、任務、任務!!!!
朝起きて任務、お昼ご飯すら食べずに任務、夜になっても任務。もう気が付けば時刻は夜の22時だ。恐ろしすぎる…
三年生はいつもこんなにも大変な任務を余裕気にこなしていたのか…いや、違うか。私達が五条先輩と傑先輩の二人ならば軽々とこなしていたに違いないと勝手にそう思っていただけなのかもしれない。
普段からそうだ。あの二人は他の高専のメンバーなんかとは比べ物にならないほど多忙を極めていた。夜中に帰って来るのだっていつものことだ。
そう思うとやはり先輩達はとても凄くて、そして私達はまだまだなのだということを思い知る。
任務に没頭して最近あったことを忘れようとなどと思っていたはずなのに、あの二人の存在のデカさをただひたすらに感じずにはいられなかった。
「お疲れ様です、高専に戻りましょう」
補助監督の迎えが来て見慣れた黒色の車へと乗り込めば、ゆらゆらとしたその振動が私達の眠気を誘う…が、しかし。
「お腹空きすぎて寝れない!!」
後部座席で項垂れていだ雄ちゃんが勢い良く身体を起こし、大きくパッと目を開いた。