第18章 当たり前
私の思いとは裏腹に、扉を開けそこにいたのは七ちゃんと雄ちゃんの二人だけだった。
朝の6時半、制服を着替えて朝食を食べるにはまだ少しばかり早い時間だ。しかしながら高専の寮に住んでいる学生からしたらこれが普通で、あと30分もしたら慌ただしく校内へと向かうか任務へと駆り出されて行く。
今日は確か都内の任務へと行く予定だ。
二人におはようと声をかけながら雄ちゃんの隣の席へと腰をかける。七ちゃんと雄ちゃんは私へと小さな笑みを作りながら「おはよう」「おはようございます」と答えると、二人仲良くトレーに乗っていた卵焼きを口へと運んだ。
…先輩達今日はいないんだ。休みなのだろうか。それとももっと早く任務に出たのかな。
あまり食欲は無いものの、普段はガッツリと食べている自分がちまちまと朝食を食べていると具合が悪いのかと二人に心配されそうで、何とか大口を開けて食べ物を口へと運ぶ。
そんな中でも視線だけはチラチラと忙しなく食堂の入り口へと動かしていれば、隣に座っていた雄ちゃんはすでに食べ終えたのか両手を合わせながらこちらを覗き込んだ。
「そういえば三年生は昨日の夜から急な呼び出しで、京都へヘルプに行ったんだって」
「京都に?」
「時々あるよね、ほら夏油さんも五条さんも規格外の強さだし。でも学生だからフットワーク軽くて呼び出されやすいみたいだよ。京都校にはあそこまでの実力の術師いないし余計にね」