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【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第17章 それは突然に






「すまない、夜蛾先生からの呼び出しだ」




こんな時ですら先輩はいつだって忙しい。




立ち上がった傑先輩の背後には、白と薄茶色の綺麗な毛並みをした虎がいつの間にか立っていた。先輩の手持ち呪霊の一体だろうか。初めて見る。




「コイツが部屋まで送るよ」




傑先輩のその言葉に、虎は鼻先でヒョイっと私を簡単に持ち上げるとその背中へと私を乗せる。




「え、あの…」




傑先輩、そう声をかけようとしたけれど虎は早々と歩き始めてしまって、ドアが閉まる直前「ごめんね」傑先輩が掠れるような小さな声でそう呟いたような気がした。



それは何に対してのごめんねなのだろうか…もちろんそれを聞くことは出来なかった。




いや、正しくは私にそんなことを聞く権利などなかった。




バタンと扉が閉まる音がする。それを聞いた瞬間…もうこの部屋へ二度と入ることは出来ないような気がして…胸の奥底にモヤがかかったような感じたことのない喪失感に襲われた。




虎の背中に乗った状態のまま寮の廊下を歩く。こんな所誰かに見られたら驚かれるだろうな。だけれど周りには誰の気配もない。




何も言っていないにも関わらず、白い毛並みの虎は私の部屋の前へと到着すると、乗せた時同様鼻先で私をスッと待ち上げ床へと下ろした。




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