第17章 それは突然に
「悟君のセフレ?」
ヒュッと喉の奥から空気を拒む音がした。
やめて、やめて、やめて。
やめてくれ、やめて。
だけれどもちろんそんな私の心中が、この目の前の女性に伝わるはずもなくて…
「おい、お前っ」隣からは傑先輩が出したとは思えないほど低い声が聞こえてくる。けれどそんな傑先輩の怒りを含んだ声に重ねるようにして
「こいつは後輩だよ。同じ学校のただの後輩」
その言葉に胸がズクリと痛んだ。
だけれどそれは何も間違ってなどいない。そうだ、私はただの後輩だ。ただの後輩でしか無い。五条先輩は何も間違ったことは言っていない
例えセフレだろうが、ただの後輩なのだ。
「えー、ただの後輩なのー?本当にー?」
それなのにその言葉に違和感を感じた。
得体の知れない違和感を感じた。
そしてそれをまるで表現するかのように
目の前の五条先輩の口角が不自然なほどゆるりと上がる。
「そう、何の関係もない。ただの、後輩だよ」