第17章 それは突然に
でもそれは私の勝手な考えだったのかも知れない。五条先輩からしたら、別に今までだってたまたまその姿を偶然見るような場面がなかっただけで別に隠していた訳では無かったのかも。
そうだったのかも。私に気を使ってくれているなんて自惚れていただけで、そんなの偶然に偶然が重なってただ奇跡的にそんな場面に出くわさないで済んでいただけなのかも。
馬鹿だ、馬鹿すぎる。馬鹿すぎて言葉にもならない。
そんな事を頭の中で唖然と考えながら、それでも見たくない、こんな光景見たくないって心が破裂しそうになるくらいに悲鳴を上げた。
「悟こそ、こんな所で会うなんて珍しいじゃないか」
五条先輩の言葉に答えたのは私の隣にいる傑先輩だった。その視線は五条先輩へと向けられていて、その隣にいる人物はまるで目に入っていないとばかりに少しも視界に入れる気配はない。
「今日は午前で終わったんだよ。雑魚だったからな」
何が終わったのか、それについて主語は無いものの私達にとってその意味合いなど聞かなくても分かる。一般人のいる所で任務やら呪霊の話をするわけにはいかないからだ。
「そう、私達も今終わった所だよ。これから学校に戻ろうとしてたんだ」
「ふーん、つーか歩きかよ。車はどうした」
「補助監督に緊急の要件が入ったらしくてね、電車で帰宅することになったんだよ」