第16章 その気持ちが
私の身体が傑先輩の体温によって温まった頃「そう言えば見せたい物って?」と言う声に身体を離して先輩を見上げれば、すっかり忘れていた当初の目的を思い出し先輩の手を引いて歩き出す。
食堂に着き本当は今日皆んなで傑先輩の誕生日を祝うつもりだったことを話せば、それはそれは嬉しそうに飾り付けを見て写メまで撮っていて、
ありがとうと言いながら、嬉しそうに目尻を下げて食堂をぐるりと見渡していた。
その後は買っておいたケーキも食べた。もちろん皆んなにはこんな時間に傑先輩を祝うって言っていないから内緒で食べたんだけれど、元々傑先輩にあげる予定のものだったのだからと開き直って二人で食べまくった。
だけど予想以上に大きいホールだった為、二人じゃとてもじゃないけど半分も食べれなくて…多分明日になったらこの食べかけのケーキを見て誰が食べたのかって犯人探しなんて始まるかもしれないと傑先輩とクスクス笑いながら話す。
だけど心配性の七ちゃんに、こんな夜中まで先輩を待っていたなんて知られたらやっぱり怒られる未来しか想像が付かないから、結局誕生日のお祝いをしたこともケーキをこっそり食べたことも傑先輩と二人だけの秘密だ。