第16章 その気持ちが
自分で作っておきながら笑うなど失礼極まりないのだが、そのミスマッチ具合に笑わずにはいられなかった。
でもある意味ギャップモエなのかもしれない。イカツイ系男子が柴犬柄の巾着って。
「確かにっ、ふふ、私なんで柴犬の柄にしたんだろ、ふふふ、絶対もっと先輩に似合う柄あったよね」
「ふっ、でもすごく可愛いけれどね」
「そうでしょ!その柴犬の瞳と目が合った瞬間これにしようって思っちゃって」
「一目惚れってやつだ」
「へへ、ごめんね先輩。先輩にはちょっと可愛い系すぎちゃったかな」
「そんなことないよ、すごく気に入ったよ。何だか少しエナに似ている気もするしね」
「えぇ?私に?似てるかなぁ!?」
「うん、ほらこの口元とかそっくりだよ」
「うん、やっぱり似てる」と小さく笑う傑先輩は、巾着を眺めながら楽しそうに目尻を下げていて、この柴犬がこれから傑先輩を癒してくれたら良いななんてそんな事を思う。