第16章 その気持ちが
緊急任務がこんな時間に終わって疲れているだろうに。それなのにも関わらず…私を見るなり心配な顔をした傑先輩に、やっぱりこの人はどこまでも優しい人だなと思った。
私は、そんな傑先輩の優しさに救われそして頼ってばかり来た。
「…これ」
私を見下ろしていた表情は掌へと移動していき、そしてもう一度私を捉えた。
「えっと、高価な物とかじゃなくて申し訳ないんだけど…でも傑先輩に何をあげようかなって考えた時ふとこれにしようって思ったんだ」
先輩の掌の上には10センチほどの小さな巾着。先輩がキョトンとしてしまうのも無理はない。見た感じ何だこれ?みたいな物だし。
「中身はね、私オススメのお菓子がいっぱい詰まってるんだよ。あ、ちなみにこの巾着は私の手作りです!柄は何が良いかなぁって思ったんだけど、傑先輩は和柄が似合うと思って柴犬の柄にしてみました!可愛いでしょ?」
ニコニコと先輩の顔を見つめ、手の上に置いていた巾着をスッと開いて見せれば、中には色とりどりの色々なお菓子が詰め込まれている。
チョコ、飴、ガム、グミ、種類は問わないが全て口直しに合いそうなモノばかりだ。
「これはね、私は任務とかで先輩に会えない時用のお口直し!あ、もちろんお腹が空いた時にも食べて良いからね!それで無くなったらまた私に言って!袋パンパンにお菓子入れるから」